[論文発表]ユーグレナのワックスエステル発酵制御に関与するキナーゼの同定

2017年7月12日

Mitsuhiro Kimura and Takahiro Ishikawa
Suppression of DYRK orthologs expression affects wax ester fermentation in Euglena gracilis. 
Journal of Applied Phycology, 2017, in press. 

 

微細藻類ユーグレナのワックスエステル発酵制御に関わるタンパク質キナーゼを同定しました。研究成果は7月12日、Journal of Applied Phycology誌にて受理されました。これは戦略的創造研究推進機構(CREST) 採択課題『形質転換ユーグレナによるバイオ燃料生産基盤技術の開発(代表:石川)』の研究成果です。

[概要]ユーグレナは嫌気条件でワックスエステルを大量に合成する能力を持ち、未来のバイオ燃料資源として期待されています。これを実現するためには、ワックスエステル発酵の制御機構を明らかにし、バイオテクノロジーによって改変する必要があります。
様々な代謝や生理応答の調節には、タンパク質のリン酸化が関わっています。実際に近年、同じく藻類のクラミドモナスにおいて脂質代謝制御に関わるタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)として、Dual-specificity Tyr phosphorylation-regulated kinase(DYRK)であるSTD1やTAR1が同定されています。そこで研究グループは、独自のユーグレナESTデータベースから28個のDYRKホモログを見つけ出し、クラミドモナスSTD1やTAR1に相同性の高いものをEgSTD1、EgSTD2およびEgTAR1と名付けて解析しました。EgSTD1およびEgSTD2の発現抑制は培養初期の成長を抑制し、クロロフィルの蓄積を促進しましたが、EgTAR1の発現抑制はおおむね逆の影響をもたらしました。興味深いことに、EgSTD1およびEgSTD2の発現抑制株ではワックスエステルの原料となるパラミロン(貯蔵多糖)が高蓄積し、嫌気処理後のワックスエステル蓄積も促進されました。一方、EgTAR1の抑制株ではパラミロン含量が大きく低下しました。これらのことから、EgSTD1およびEgSTD2はパラミロンの蓄積からワックスエステルの合成まで、いわゆるワックスエステル発酵を負に調節することが分かりました。今後、これらの標的となるタンパク質を同定することにより、ワックスエステル発酵の調節におけるキーポイントが明らかになると期待されます。

 


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