[論文発表]根の緑化に伴うアスコルビン酸生合成の活性化

2019年4月15日

 植物の根のアスコルビン酸生合成に関する論文がPlant Science誌に受理されました(4/13)。この研究は佐々木くんの卒業研究として開始し、本論文の実験の大部分は城間さんの修士論文研究として行ったものです。最後、仕上げに必要な実験を田中さんが担当してくれました。

Saki Shiroma, Mio Tanaka, Tomohiro Sasaki, Takahisa Ogawa, Kazuya Yoshimura, Yoshihiro Sawa, Takanori Maruta, and Takahiro Ishikawa
Chloroplast development activates the expression of ascorbate biosynthesis-associated genes in Arabidopsis roots. 
Plant Science, 284, 185-191, 2019 Jul.

 

[概要]アスコルビン酸は葉や果実に多く含まれる水溶性の抗酸化剤です。葉のアスコルビン酸生合成は光によって促進されます。この仕組みには光合成活性が必要であり、光合成に由来する何らかのシグナルが生合成の活性化に機能すると考えられています。一方、根におけるアスコルビン酸生合成の調節はほとんど分かっていませんが、通常、根は地中に存在するため、光依存的な調節機構は働かないと予想されます。事実、根のアスコルビン酸含量は葉のそれよりも低いことが一般的に知られています。

 このような背景のもと、今回私たちはプレート上(固形培地上)で生育させたシロイヌナズナの根が高レベル(葉に相当するレベル)のアスコルビン酸を含んでいることに気づきました。プレート上で生育させた場合、根はダイレクトに光を浴びるため、若干葉緑体が発達します。特に、基部側(葉に近い側)では視覚的にも判断できるほど葉緑素を含み、光合成活性を有していました。地上部を切除して根の緑化(葉緑体発達)を促進するとアスコルビン酸生合成系遺伝子の発現が増加し、逆に光合成阻害剤を処理すると発現が低下しました。また、根の緑化が起こらないhy5変異株の根ではアスコルビン酸含量と生合成系遺伝子発現が低いこともわかりました。これらの結果から、プレート上で生育させた植物の根におけるアスコルビン酸の高蓄積は、葉緑体の発達による光合成依存的なアスコルビン酸生合成の活性化に起因することが示されました。つまり、葉で知られていた光合成依存的な仕組みは、場合によっては根でも起こることがわかりました。青長大根(ビタミン大根)は、大根の内部まで葉緑素を含み、ビタミン含量が高いことが知られていますが、おそらく今回発見した仕組みが関係していると思われます(ただし、大根の緑色の部分は根ではなく、胚軸なので厳密には組織が違います)。

 


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