[論文発表]ユーグレナミトコンドリアのプロテオミクス解析@PLos ONE誌

2019年12月18日

 ユーグレナのミトコンドリアタンパク質のプロテオミクス解析に関する論文がPLOS ONE誌に受理されました。これは慶應大学との共同研究で、戦略的創造研究推進機構(CREST)『形質転換ユーグレナによるバイオ燃料生産基盤技術の開発(代表:石川)』による研究成果です。

Shun Tamaki, Kohei Nishino, Takahisa Ogawa, Takanori Maruta, Yoshihiro Sawa, Kazuharu Arakawa, Takahiro Ishikawa
Comparative proteomic analysis of mitochondria isolated from Euglena gracilis under aerobic and hypoxic conditions
PLoS ONE, 31;14(12):e0227226, 2019 Dec

[概要]ユーグレナは光合成により生産した糖をパラミロンと呼ばれる特殊な多糖として蓄積します。そして、酸素の少ない嫌気条件に直面すると、パラミロンをグルコースに分解し、解糖系でATPを作った後、炭素数14のミリスチルミリスチン酸を主成分とするワックスエステルの生産に利用します。このユーグレナ由来のワックスエステルは未来のジェット燃料として期待されており、私たちはワックスエステル生産の分子制御機構の解明に取り組んでいます。

 これまで嫌気条件で特異的に転写レベルで応答する遺伝子をトランスクリプトーム解析によって調べてきましたが、ワックスエステル生産に関わる遺伝子の多くは転写レベルでの制御を受けないことが示唆されました(Yoshida et al., 2016)。そこで今回は、脂肪酸合成の場であるミトコンドリアに着目し、単離ミトコンドリアを用いたプロテオミクス解析によって嫌気に応答するタンパク質の同定を試みました。その結果、219のタンパク質が独立した3つの解析で共通して検出され、そのうちの116タンパク質が嫌気条件で統計学的に有意に発現変動することがわかりました。特に、ワックスエステル生産の鍵酵素であると考えられているピルビン酸:NADPオキシドレダクターぜ(PNO)を含む、いくつかの関連酵素の発現が嫌気条件で有意に上昇することが示され、同代謝の制御は転写段階ではなく、翻訳段階で制御されていることが初めて明確になりました。一方で、発現上昇の割合は2倍弱程度であり、おそらく翻訳後の制御も重要であると示唆されました。現在、私たちはタンパク質リン酸化に注目し、ワックスエステル生産に必要なタンパク質キナーゼの同定に成功していますので(未発表)、乞うご期待です。

 本研究は、生化研の修了生・玉木峻さんと元研究員の西野耕平さんが中心になって取り組んだものです。

 

 


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