■自己紹介■

名前:小川 貴央(おがわ たかひさ)
生年:1979年(大阪)
血液型:A型
趣味・特技:ビール、日本酒、緑
口癖:アカンて
特徴:生化研教員唯一のA型であり、研究室の規律やモラルを守る存在、と書けと言われました。
mail:t-ogawaあっとlife.shimane-u.ac.jp ("あっと"を"@"に置き換えて下さい)

 

■所属学会■
日本農芸化学会、日本植物生理学会、日本分子生物学会、日本ビタミン学会、ユーグレナ研究会

 

■研究内容■(改定中)

 小川グループでは、植物のストレス応答・耐性の分子機構の解明の新たな糸口として、ピリジンヌクレオチドやフラビンの代謝制御に着目しています。すなわち、NDAH、NADPHやFADの代謝です。これらは生体内の種々の酸化還元反応に必要不可欠であるばかりか、様々な生理学的プロセスの調節に「レギュレーター」としても重要であることがわかってきました。

 研究のきっかけは、学生時代に行った優勢変異株のスクリーニングにより、新規の酸化ストレス耐性遺伝子として「Nudix hydrolase 2(NUDX2)遺伝子」を同定したことです。つまり、この遺伝子をシロイヌナズナで過剰発現することにより、酸化ストレスに対する耐性能力がアップすることが分かったものの(図1)、どのような機能をもつのかは不明でした。

 そもそも、Nudix hydrolaseという酵素名自体、あまり聞きなれないと思います(カタカナで書くと、ヌーディックス・ハイドロラーゼです)。この酵素の特徴は、Nudixモチーフと呼ばれる配列をもち、ヌクレオシド-2リン酸に由来する様々な化合物の加水分解能を有することです。そのため、基質となりえる化合物は幅広く、NADHやNADPHなどのピリジンヌクレオチド、FAD、酸化ヌクレオチドや糖ヌクレオチド(ADP-リボースなど)などが含まれます。シロイヌナズナには28個のNudix hydrolase遺伝子が存在しますが、当時、それらの酵素学的性質や機能に関する情報は全くなく、どのアイソフォームがどの基質を利用するかも不明でした。

 そこで、28個のNUDXアイソフォーム全てのリコンビナント酵素を作製し、それらの基質特異性や細胞内局在性を一つずつ調べるという途方もない実験に従事し、それらの特徴をリスト化しました(図2)。その結果として、未だ基質のわからないものも多く存在しますが、各アイソフォームが異なる基質特異性や細胞内局在性を示し、様々な生理学的プロセスの調節に機能することが明確になってきました。なお、ストレス耐性遺伝子として同定したNUDX2はNADH/ADP-リボースを基質とするタイプで、細胞質に存在することがわかりました。さらなる研究により、同様の酵素学的特徴を持つNUDX6および7が酸化的ストレスやサリチル酸(耐病性ホルモン)に対する応答に重要な役割を果たすことが示されました。

 このように、植物NUDXの生理機能を包括的に調べることで、逆に、それらの基質となる化合物の新しい役割、特にストレス応答における機能が明らかになってきました。同時に、NAD(P)HやFADなどの基本的な補因子ですら、それらの代謝や輸送に関する知見が極めて限られていることにも気づかされました。そこで現在、小川グループでは、1)NADHまたはNADPHの加水分解を触媒するNudix hydrolase(NUDX6/7/19など)の生理機能の解析を通して、ピリジンヌクレオチドのストレス応答における役割、2)FADやFMNなどのフラビンの代謝および輸送に関する研究を進めています。

 

 

■研究業績■

[論文・総説など]

小川貴央パブリケーションリストへ(リンク)