[論文発表]NADPH代謝改変による光酸化的ストレス耐性能の向上@Scientific Reports誌

2016年10月24日

 シロイヌナズナのNudix hydrolase 19(AtNUDX19)は葉緑体内のNADPHレベルを調節することで、植物の光ストレス応答を制御することが明らかになりました。これは丸田准教授と中部大学(吉村研)、千葉大学(高橋研)および近畿大学(重岡研)の共同研究の成果であり、Scientific Reports誌にて受理されました。

Loss-of-function of an Arabidopsis NADPH pyrophosphohydrolase, AtNUDX19, impacts on the pyridine nucleotides status and confers photooxidative stress tolerance
Takanori Maruta, Takahisa Ogawa, Masaki Tsujimura, Keisuke Ikemoto, Tomofumi Yoshida, Hiro Takahashi, Kazuya Yoshimura, and Shigeru Shigeoka 

Scientific Reports, 6: 37432, 2016. DOI: https://doi.org/10.1038/srep37432 

 

研究の概要

 NADHやNADPHなどのピリジンヌクレオチドは種々の酸化還元反応の補酵素として重要であるとともに、生体内のレドックス制御やシグナル機能を介して植物のストレス応答・耐性に深く関与します。植物のピリジンヌクレオチドの生合成に関する知見は蓄積してきましたが、もう一方の分解のメカニズムや生理学的意義はあまり分かっていませんでした。

 これまでに研究グループは、ヌクレオシド2リン酸由来の化合物を加水分解する酵素ファミリー、通称Nudix hydrolase(NUDX、シロイヌナズナには28のアイソフォームが存在)の生理機能を包括的に解析し(Ogawa et al., J. Biol. Chem., 2005; Ogawa et al., Plant Physiol., 2008など)、それらの中で、AtNUDX19は唯一NADPHに対して加水分解活性を持つことがin vitroの実験系で示されていました。そこで今回は、同酵素のin vivoでの機能を明らかにするために、AtNUDX19遺伝子を欠損させた変異株を用いて種々の生理生化学的な解析を行いました。

 その結果、AtNUDX19はin vivoにおいてもNADPHを特異的に加水分解することが分かり、その欠損は他のピリジンヌクレオチド量や酸化還元比にも影響することが示されました。面白いことに、変異株はマイルドな強光ストレスやパラコート(活性酸素生成剤)処理などの、光酸化的ストレスに対して高い抵抗性を示しました。この表現型は、光合成および抗酸化酵素の活性化、種々の遺伝子の発現変化に起因することも分かりました。したがって、AtNUDX19はピリジンヌクレオチドの制御を介して強光ストレス応答を負に調節する因子であることが明らかになりました。

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